研究課題
生活習慣病による腎障害(慢性腎臓病:CKD)モデルであるZucker obese rat(ZOR)、5/6腎摘出(Nx),STZ-糖尿病ラットを用いて、腎内微小循環変化を2光子レーザー顕微鏡を利用して解析した。その結果、共通して糸球体輸入細動脈の自動調節能の破綻・拡張と相対的な輸出細動脈の内径狭小化を認めた。さらにアルブミンと同等サイズの大分子量デキストランの透過性亢進を認め、糸球体係締壁の透過性亢進(過剰濾過)状態を確認しえた。さらにこれらのモデル腎糸球体においては、一酸化窒素(NO)産生能が低下しており、血管内皮機能障害が生じていることを見いだした。内皮機能障害の原因としてNADPH Oxidase由来の活性酸素種(ROS)産生亢進とこれによるBH4(eNOS補酵素)酸化・減少、さらにeNOS uncouplingが生じていることを明らかにした。BH4補給によって、eNOS uncouplingの改善、NO産生能回復と同時にアルブミン尿が減少することも示した。生活習慣病に起因するCKDではアルブミン尿が糸球体高血圧(過剰濾過)と内皮機能障害の両者によって生じることが判明した。さらにCKDと心血管病との連関機序を解析すべく、CKDモデルにおける大動脈レベルの内皮依存性血管拡張反応を解析したところ、アルブミン尿に一致して大動脈レベルの内皮機能障害が生じていることを見いだした。レニン-アンギオテンシン系阻害薬、PPAR-γagonistは腎内微小循環障害、内皮機能障害を改善させ、アルブミン尿を減少させ、同時に大動脈内皮機能を改善させることも見いだした。これらの知見は今後、CKD患者の心血管事故回避のための治療法立案に際して資するものであると考えられる。
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