研究課題
孤発性筋萎縮性側索硬化症(ALS)では運動ニューロンの編集型GluR2が部位特異的、疾患特異的に減少していること報告されている。編集型GluR2の低下は細胞内Caイオンの細胞内流入を引き起こすことから、ALSの運動ニューロン変性の病態に直接関与している可能性が高い。したがって編集型GluR2を増加させることはALSの治療法となりうると考えられる。編集型GluR2を増加させる方法としてはGluR2Q/R部位のRNA編集酵素であるADAR2の活性を上昇させる薬剤を投与する、あるいはADAR2遺伝子の強制発現を行う方法がある。本年度、ADAR2活性が40-60%のTet-on HeLa細胞(東京大学神経内科郭伸先生より供与)を用いADAR2活性の測定系を確立した。この培養細胞に薬剤を24時間暴露し、細胞を回収し、RNAを取り出す。RNAからcDNAを作製し酵素処理後、電気泳動した。泳動パターンからGluR2Q/R部位の編集率を測定することができる。この系を用い薬剤スクリーニングを行い、ADAR2活性を上昇させる複数の抗うつ薬を確認することができた。臨床応用するためには、さらに低濃度で、かつ効率のよい条件を検討する必要があると考えられる。ALSは根本的治療法が無く、現在はケアが中心の状態である。ADAR2活性を上昇させる薬剤の開発はALS治療を根本から変えるようなインパクトのある重要な課題である。
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