研究概要 |
1.培養細胞系を用いたAβオリゴマーの同定と蓄積過程の解明 Sweden型遺伝子変異を組み込んだAβ前駆体蛋白(APP)をCHO cellにstableに発現させる系を用いてリピドラフト分画を初めとする各分画を採取した.各分画でwestern blotおよびELISA測定を行い,Aβがリピドラフト分画に高濃度に存在することを示した. 2.Lipid rafts, Aβ oligomer形成阻止治療 リピドラフトに特異的に集積するGPI anchorを分解する酵素であるphosphatidylinositol phospholipase C(PIPLC)でAPP発現培養細胞を処理し,各分画のAβ濃度を測定したが,処理の有無でAβの変化は認めなかった.GPI anchor蛋白はAβ蓄積に直接の影響を持たないことが示唆された. 3.Tg2576マウスの大量飼育とコレステロール投与実験 Tg2576マウスの大量繁殖・飼育を行い,実験に必要なマウスを準備した。高コレステロール食を与えたTg2576マウスでは血中および脳リピドラフトでのコレステロールの増加と脳リピドラフトでのAβオリゴマーの増加傾向を示した.高コレステロール血症はアルツハイマー病の危険因子であるが,脳リピドラフトでのコレステロール増加によりAβオリゴマー産生を増加させることが示唆された.リピドラフトでのコレステロール低下はAβオリゴマーの産生を抑制することによってアルツハイマー病の発症予防に働く可能性がある.
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