研究課題
16q-ADCAはきわめて強い創始者効果を有する疾患であり、日本人患者では同一の遺伝子変異を共有する可能性が指摘されている。申請者らは現在までに長野県内のADCA155家系を解析し、63家系(全体の40.6%)でpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換を確認した。国内他地域と比較しても、長野県における16q-ADCAの高集積性は明らかである。申請者らは16q-ADCA患者66名の臨床所見・経過を、同じく本邦に多い純粋小脳型であるSCA6患者(35名)のそれと比較検討した。その結果、16q-ADCAではSCA6に比べて明らかに高齢発症であること(59.1±9.6歳vs 42.0±8.3歳)が判明した。臨床的には両者とも純粋小脳型であるが、注視時眼振の頻度はSCA6患者で有意に高かった。また小脳失調の進行度は16q-ADCA患者の方がSCA6患者に比べてやや速い傾向が見られたが、有意な差異ではなかった。申請者らは16q-ADCA家系の詳細なハプロタイプ解析からpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換が真の病因ではなく、疾患関連多型であること、そのセントロメア側に真の原因遺伝子が存在する可能性を示唆してきた。これまで候補領域に存在する約20の候補遺伝子につき、おのおののエクソン領域をPCR増幅・直接シークエンス法により解析したが、変異候補を見出せなかった。また、多数の患者・家系解析から、puratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換陰性、かつよりセントロメア側には疾患特異的なSNPを有する2名の患者・家系を対象にして、さらに詳細なハプロタイプ解析を行ない、候補領域のテロメア端の組み換えの切断点の絞り込みを試みたが、有意な情報は得られなかった。またpuratrophin-1遺伝子のC/T塩基置換陽性の患者約80名において、SNP解析を行い、候補領域のセントロメア端の絞り込みを試みたが、やはり有意な情報は得られなかった。
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Cerebellum 8
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