研究概要 |
優性遺伝性非翻訳リピート病の主要な疾患である筋強直性ジストロフィー1型(DM1)の主な病態メカニズムは、伸長CUGを介した標的遺伝子スプライシング異常にある。Exonアレイを用いてDM1神経筋組織における、スプライシング異常遺伝子の網羅的な解析を行った。この中で抽出された3つのエクソンのスプライシング異常メカニズムと、その病態メカニズムを解析した。更に異常スプライシングを矯正し得る薬剤スクリーニングを施行した。 その結果、(1)独自のスプライシング異常検出アルゴリズムによるExon Array解析ソフトの開発に成功した。国際学会で発表し、現在国際雑誌に投稿中である。(2)DM1筋組織で10個の、神経組織で2個の新規異常スプライシングを同定した。更にその分子病態機序を解析した。国内・国際学会で発表し、現在国際雑誌に投稿中である。(3)DM1特異的な異常スプライシングを再現できるミニジーン(伸長CUG発現下で)を作製し、FDA既認可薬剤スクリーニングの結果、異常スプライシングを矯正する薬剤を同定し、国内特許を取得した。今後更なる解析を加えて、治療実用化を目指す。(4)DM1だけでなく、おなじく優性遺伝性非翻訳リピート病であるDM2,脊髄小脳失調症10型(SCA10)のスプライシング異常解析を行い,基礎データを得た。DM1との類似点・相違点を比較検討し、病態解析に重要な知見を集積しつつある。
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