研究概要 |
神経細胞またはグリア細胞特異的に遺伝子を導入できるアデノ随伴ウイルス(AAV)ベクターを使用して,アルツハイマー病やパーキンソン病などの神経変性疾患における病態を解析し,新たな治療法を開発することを目標として研究を行った.パーキンソン病患者の黒質に認められるLewy小体の構成成分であり家族性パーキンソン病の原因遺伝子の一つでもあるα-synuclein,あるいは,アルツハイマー病患者の脳内に老人斑として蓄積するβamyloidによる細胞変性の機序を,これらの蛋白質を長期間継続して過剰発現させることが可能なAAVベクターを使用した実験系で解析した.初代培養細胞・ES細胞を使用したin vitroの実験に加えて,マウス・ラット・カニクイサルにおける病態モデルの作製を試みた.平成19年度は,神経細胞,astroglia,oligodendrocyteの各細胞特異的プロモーターによりα-synucleinあるいはアミロイド前駆体蛋白(APP)を発現するAAVベクターを作製した.現在,マウスの脳内にこれらのベクターを注入し,細胞毒性の発現の有無を解析している.
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