研究概要 |
本研究は片頭痛の病態へのASIC(acid sensing ion channel)およびTRPV1受容体(the transient receptor potential vanilloid subfamily member 1)の関与を検討したものである.片頭痛の病態には,血管反応性の異常に加え,三叉神経と硬膜の神経原性炎症が関与していると考えられている.本研究により片頭痛の病態に関係すると考えられている脳硬膜および三叉神経節におけるTRPV1受容体の存在を明らかにした.さらに,TRPV1受容体のアゴニストであるカプサイシンによる侵害刺激を脳硬膜に加えると,三叉神経節にて痛覚伝達に関係するextracellular signal-regulated kinase(ERK)のリン酸化が生じることを明らかにした.同様の刺激を神経系株化細胞に与えた場合もERKリン酸化が起こることも明らかにした.また脳硬膜TRPV1受容体陽性神経線維は頭蓋骨内の板間静脈と交差しており板間静脈を介した熱などが,TRPV1受容体の感受性に影響を及ぼしている可能性が示唆された.
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