申請者らは、SJS骨格筋の持続収縮ミオトニア症状のメカニズムについてモデルマウスを使って解明しているが、その過程でいくつかの複合要因を考えている。その一つに筋の易収縮性がある。また、申請者は臨床的観点から、SJS患者に特徴的な眼論筋や口輪筋の持続収縮、筋の肥大、typel fiber predominancyに関する細胞内カルシウムの変動の影響に興味を持った。眼輪筋などは超速筋とも呼ばれる特殊に分化した筋であり、細胞内カルシウム濃度は低く維持され、その微量な変化に影響を受ける。カルシウム負荷はtype1 fiber (遅筋群)では筋の肥大シグナルを動かすとされる。SJSの病態の解明と治療の確立において細胞内カルシウム濃度の関与は重要と考えた。軟骨以外でパールカンを欠損するマウスを使用し解析した。既に筋病理、筋電図にてSJSの臨床症状を再現していることを確認している。また、腱切除術により共同筋への機械的負荷をかける肥大モデルを作成し、パールカン有無により肥大の差を検討している。細胞外マトリックスであるパールカンの欠損と細胞内のカルシウムシグナルの変化を結ぶカスケードを知るため、初代培養筋を用いてカルシウム動態を観察し、カルシウム上昇幅に差異を認めた。以上の結果は予備的知見であるが、今後の研究に繋がる基礎データと考えられる。
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