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2008 年度 実績報告書

先天性筋ジストロフィーの分子病態解析と糖転移酵素を用いた治療法の開発に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 19591010
研究機関帝京大学

研究代表者

斉藤 史明  帝京大学, 医学部, 講師 (40286993)

キーワード筋ジストロフィー / α-ジストログリカノパチー / ジストログリカン / Large / ラミニン / 糖鎖修飾 / 糖転移酵素 / 福山型先天性筋ジストロフィー
研究概要

HeLaやMCF7など悪性腫瘍由来の培養細胞には分子量75kD前後の低分子量のα-ジストログリカンが発現していた。これらのα-ジストログリカンは糖鎖部分に対する抗体であるIIH6と反応せず、ラミニン結合能を持たないことから異常な糖鎖修飾を受けたα-ジストログリカンと考えられた。これらの結果から、悪性腫瘍は生化学的にα-ジストログリカノパチーとしての側面を有していることが明らかとなった。次に各種培養細胞に対してトランスフェクションによるLarge遺伝子の導入を行なったところ、α-ジストログリカンの分子量は200kD前後にまで著明に増大するとともに、IIH6との反応性、ラミニン結合能とも著しく亢進した。これら培養細胞では糖転移酵素の異常は特定されていないわけであるが、このような場合においてもLargeの過剰発現によりα-ジストログリカンの機能修復が生じることを示した。さらに欠失コンストラクトを用いたトランスフェクションの実験から、α-ジストログリカンの機能修復にはLargeの管腔内ドメインのほぼ金長が必要であることが明らかとなった。
また我々はin vivoにおけるLargeによるα-ジストログリカンの機能修復作用を検討するためにLargeトランスジェニックマウスを作出した。同マウスは正常に誕生、発育し、交配も可能であり、外観上明らかな行動異常を示さなかった。ウエスタンブロット法、免疫蛍光抗体法で解析したところ、同マウスの骨格筋、心筋、末梢神経、腎臓などを含む各種臓器においてα-ジストログリカンの高分子量化とIIH6に対する反応性の著明な亢進を認めた。またこれらの臓器を光学顕微鏡で観察したところ明らかな形態学的異常は認められなかった。同マウスは明らかな障害を示さないことから、将来的にはLargeの全身的投与によるα-ジストログリカノパチーに対する治療への道が開かれたものと考えられる。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2009 2008 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (4件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Dystroglycanの末梢神経における機能と病態との関わり2009

    • 著者名/発表者名
      斉藤史明, 松村喜一郎
    • 雑誌名

      神経内科 (in press)

  • [雑誌論文] Processing and secretion of the N-terminal domain of α-dystroglycan in cell culture media.2008

    • 著者名/発表者名
      Saito F, Saito-Arai Y, Nakamura A, Shimizu T, Matsumura K.
    • 雑誌名

      FEBS Lett. 582

      ページ: 439-444

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 先天性筋ジストロフィーとα-dystroglycanopathy2008

    • 著者名/発表者名
      斉藤史明, 松村喜一郎, 萩原宏毅, 清水輝夫
    • 雑誌名

      臨床神経学 48

      ページ: 543-549

  • [学会発表] Glycosylation of α-dystroglycan in cultured cells and its restoration by glycosyltransferase.2008

    • 著者名/発表者名
      Saito F, Shimizu T, Matsumura K.
    • 学会等名
      13th International Congress of the World Muscle Society
    • 発表場所
      Newcastle Gateshead, UK
    • 年月日
      2008-09-30
  • [学会発表] α-ジストログリカノパチーにおけるジストログリカンの機能修復に関する検討2008

    • 著者名/発表者名
      斉藤史明, 新井祐子, 清水輝夫, 松村喜一郎
    • 学会等名
      第49回日本神経学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2008-05-17
  • [学会発表] α-DystroglycanのN末端断片の脳脊髄液における発現2008

    • 著者名/発表者名
      新井祐子, 斉藤史明, 清水輝夫, 松村喜一郎
    • 学会等名
      第49回日本神経学会総会
    • 発表場所
      横浜
    • 年月日
      2008-05-17
  • [学会発表] Characterization of proces sing and secretion of the N-terminal domain of α-dystroglycan.2007

    • 著者名/発表者名
      Matsumura K, Arai Y, Saito F, Shimizu T
    • 学会等名
      32nd Federat ion of Europian Biochemica1 Societies Congress
    • 発表場所
      Vienna, Austria
    • 年月日
      20070700
  • [図書] Neurochemistry Dystroglyean and neuromuscular diseases : Its diverging role in musele, nerve and brain2009

    • 著者名/発表者名
      Saito F. Kiichiro M
    • 出版者
      Nova Science Publishers, Inc. (in press)

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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