研究課題
1)リアノジン受容体(RyR1)スプライシング異常の興奮収縮連関に与える影響の検討スプライシング部位の興奮収縮連関への関与が検討するため、RyR1ノックアウトマウス筋管細胞に正常(ASI+)およびスプライシング変異体(ASI-)RyR1のcDNAをマイクロインジェクションし、脱分極刺激における細胞内カルシウム放出の程度を検討した。その結果、安静時のカルシウム放出はASI-で低下しており、脱分極刺激時のカルシウム放出はASI-で増加していた。この異常なカルシウム調節が、筋緊張性ジストロフィー症での筋力低下の原因になる可能性を考えた。2)モデルマウス筋でのRyR1機能解析今までの我々の研究では、HEK細胞、マウス筋管細胞への発現によってRyR1機能をみているが、成熟筋細胞での機能差については知られていない。筋強直性ジストロフィーモデルマウス筋でもRyR1スプライシング異常は起こっており、この筋でどのようなRyR1機能の異常があるかを解析した。予想に反して、モデルマウス筋と正常マウス筋ではリアノジンバインディングアッセイで見る限り機能差は認めなかった。この原因としてはどちらのマウスでもASI+/-のRyR1は発現しており、その機能差をあわせたものを見ているため、違いを認めなかった可能性を考えている。3)筋強直性ジストロフィー患者脳での新規スプライシング異常の探索筋強直性ジストロフィー患者での認知機能障害の発生機序解明のため、患者剖検脳でのスプライシング異常を解析した。すでに報告されているMAPTのスプライシング異常が我々の得たサンプルでも認めることを確認した。また筋肉で認められるようなRyR1、インスリン受容体のスプライシング異常は脳では認められなかった。脳と筋肉で異なったメカニズムによりスプライシング異常が引き起こされている可能性が示唆された。
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