研究課題/領域番号 |
19591020
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
谷脇 考恭 久留米大学, 医学部, 教授 (80284496)
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研究分担者 |
村岡 範裕 久留米大学, 医学部, 助教 (80352160)
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キーワード | 脊髄小脳変性症 / 反復経頭蓋磁気刺激 / 機能的MRI / 大脳基底核運動回路 / 小脳-大脳運動回路 / 運動課題 / ネットワーク解析 |
研究概要 |
(目的・方法)脊髄小脳変性症に対し、運動野に反復経頭蓋磁気刺激(rTMS)を行うことで、失調症が改善する報告があるが、画期的な成果を得るには至っていない。rTMSは脳皮質のごく狭く、浅い領域の脳機能を抑制するため、刺激部位の選定が極めて重要である。小脳は大脳皮質運動関連野と回路を形成し、回路内で機能亢進している部位を磁気刺激すると、効果が大きいことが予想されるが、小脳障害による回路内の活動変化は過去検討されておらず、rTMSに最適な刺激部位は不明であった。我々は機能的MRI(fMRI)、運動課題およびネットワーク解析を用いて、小脳-大脳運動皮質回路および大脳基底核運動回路の機能変化を、脊髄小脳変性症患者12例を対象として解析した。その結果、補足運動野-大脳運動野間の機能連関の亢進を認め、rTMSに最適な刺激部位は、補足運動野であることが解明された。そこで、脊髄小脳変性症患者2例で補足運動野のrTMS(円形コイルで、刺激強度は運動野刺激閾値の1.3倍、運動頻度は0.2Hz、回数は1日100回の刺激を週1回、8週間行い、刺激前後の臨床症状の変化をICRS(International Cooperative Ataxia Rating Scale)で検討した(結果)rTMS開始後、1-8週後で、ICRSの「姿勢および歩行」の項目で13-31%の改善を認めた。12週後(rTMS終了4週後)には改善は消失した。一方「運動機能(四肢協調運動)」、「構音障害」、「眼球運動」では変化なかった。(意義・重要性)脊髄小脳変性症では補足運動野刺激のrTMSにより、小脳症状のうち「姿勢および歩行」が改善することが示された。さらにrTMSの作用機序の理論的裏付けを提供できた。
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