ヒト血清中CPB-BPに対する抗体の作成およびその近縁蛋白の探索:平成19年度の本研究期間中に、エピトープマッピングにより特異性を明らかにしたCPB-BPペプチドを合成し、それを抗原としてマウスモノクロナル抗体(7クローン)を確立した。ヒト血清中にもCPB-BPおよびその近縁蛋白が発現していることが判明しているが、本抗体を用いてその解析(蛋白、遺伝子)と、クモ膜下腔からの血液中への還流ペプチドとしてのHBCPBと結合する蛋白として、血清中CPB-BPおよびその関連分子の探索を行いつつある。これは診断マーカーとしての有用性では、髄液採取の侵襲性の大きさから、血清マーカーの確立に対する医療からの要請が強いことによる。現時点で、抗体により確認された血清蛋白として、トランスサイレチンと構造上の強い類似性を有する分子の他、2種類の蛋白の構造解析を行っている。 新たな血清中バイオマーカー候補分子の探索と同定解析 研究課題1-1および1-2の平成19年度の研究により、ヒト血清試料から同定解析を行い、生理的意義が推定されるペプチド分子の同定を行った。その詳細は知的財産権申請の制約から、現時点では開示できないが、髄液中にも発現しており、還流ペプチドとして血清中に存在するものであると考えて、少なくとも質量分析法による解析結果からは矛盾しない。さらに当該ペプチド分子配列を人工合成し、精製後、表層プラズモン共鳴解析等を駆使して、その結合能を検証し、さらに血清中における相互作用能を持つ分子の探索及び同定を行っており、既に病態生理学的に合理的で興味深い幾つかの蛋白分子を確認している。 (なお上記研究に不可欠な質量分析機と表層プラズモン共鳴解析はともに所属研究施設に設置されており、研究代表者はその使用に習熟している。)
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