1.ヒト脳におけるベータアミロイドペプチドのC端消化機能の担い手であると推定されるHBCPBと、そのヒト髄液中および血液中の結合蛋白CPB-BP1および2との結合部位(binding pocket)解析結果。両蛋白の1次構造を基盤とした抗体を用いるエピトープマッピングから解析したところ、充分な特異性と感受性を併せ持つモノクロナル抗体が得られ、その結合阻害活性の解析から特異性・感受性とは別に、立体構造認識の差異に基づくと思われるグループ分けができ、今後結合ポケットの立体構造解析を進め、創薬ターゲット解析の視点から新たな研究計画を立案する基盤構築ができた。 2.ヒト血清中CPB-BPおよびその近縁蛋白の探索と解析について。ハイスループット解析を可能にするため、表層プラズモン解析装置を質量分析器と組み合わせ、CPB-BPおよびその関連分子の同定解析を行った。即ちCPBのC端エピトープ分子に対応したオリゴペプチドをリガンド分子として、精製ヒト血清検体(大量発現蛋白除去血清)を解析した。免疫沈降法で得られた分子が同様に同定された他、その候補分子との相互作用が確認されている新たな分子が同定された。上記項目の解析結果との関連性も含め、同じ視点からの研究計画を構築が可能となった。 3.病理標本の免疫組織化学。上記で作成し、特異性・比活性を確認したモノクロナル抗体を用い、AD由来脳および正常人高齢者由来脳の比較免疫組織化学解析を行った。AD脳及び一部の正常老人脳では海馬病態部位でのCPB-BP2免疫活性の沈着が著明であった。
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