研究課題/領域番号 |
19591041
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
遠藤 登代志 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 准教授 (00152017)
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研究分担者 |
小林 哲郎 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 教授 (30113442)
金重 勝博 山梨大学, 医学部附属病院, 助教 (20377518)
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キーワード | 劇症1型糖尿病 / 自己免疫性膵炎 / アミラーゼ / 自己抗体 / cDNA |
研究概要 |
劇症1型糖尿病は非自己免疫性1型糖尿病(タイプ1B型)の亜型として本邦より提起された病型であり、その早期診断法の確立及び成因の解明は緊急の課題である。本症おける自己免疫の関与およびその対応抗原を見いだすべく、患者血清を用いて、ヒト膵cDNAライブラリーのスクリーニングを行い、膵アミラーゼが自己抗原であるとの結果を得た。本研究ではアミラーゼ自己抗体を検出するELISAを確立し、1型糖尿病をはじめとする種々の膵疾患での陽性率を検討した。その結果劇症1型糖尿病では88%で陽性であったが、2型糖尿病では6%に留まった。一方、自己免疫性膵炎でもほぼ100%で陽性であった。膵腫瘍、アルコール性膵炎患者等ではほぼ全例陰性であることが判明した。以上の結果はアミラーゼ自己抗体は劇症1型糖尿病および自己免疫性膵炎に特異的に産生され、両疾患の診断に有用であることが示された。一方、劇症1型糖尿病では発症後、経時的に本抗体価が低下すること、自己免疫性膵炎でも副腎皮質ホルモンの投与により著明に本抗体価が低下することも明らかとなり、臨床経過とよく合致することも明らかとなった。 リコンビナントヒトアミラーゼをマウスに免疫し、膵の変化・耐糖能を検討した。これらマウスでは抗アミラーゼ抗体が産生されたが、膵へのリンパ球の浸潤は認められなかった。耐糖能に関しては、一部高血糖を示すマウスが散見されたが、劇症1型糖尿病類似の著明な高血糖も観察されなかった。同種抗原であるマウスアミラーゼの免疫で再検討を行う必要があると思われた。
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