研究概要 |
我国の2,000万人以上の糖尿病患者や予備群の診断と治療のために、糖尿病の疾患関連遺伝子の同定が急がれる。我々は、摂食抑制ホルモン受容体の変異体(ab)の導入により、強制的に過食し重度の2型糖尿病(T2D)を来す系統と、遺伝的背景が異なる2系統の糖尿病非発症マウスとの交配系によって得られるF2マウス集団を用いる独自のQTL解析法を確立した。これらのF2集団を対象とした継続的なQTL研究において、T2Dや肥満に関連する形質(体重、内臓脂肪重量、血糖値など)に影響を及ぼす新規T2D疾患関連候補座位を複数見出した。また、高エネルギー摂取により病態形成に強く影響する座を特定し、各QTLの作用をコンジェニックマウスを用いて生体レベルで評価した結果、体重、内臓脂肪重量に強い作用を認める2領域(4,5番染色体)を特定した。複数ラインの"サブコンジェニックマウスを用いたファインマッピング"により、5番染色体の候補領域を5Mbに限局、領域内に存在する57候補遺伝子を特定し、病態の原因を明らかにする研究を継続中である。
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