研究課題/領域番号 |
19591054
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研究機関 | 香川大学 |
研究代表者 |
石田 俊彦 香川大学, 医学部, 教授 (50159737)
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研究分担者 |
徳光 浩 香川大学, 医学部, 准教授 (20237077)
村尾 孝児 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (20291982)
井町 仁美 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (80380187)
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キーワード | insulin / 膵β細胞の再生 / glucokinase / glucose / 糖尿病 / グルコース応答 / 分化誘導 / 細胞内情報伝達系 |
研究概要 |
糖尿病の病因はインスリンの作用不足であり、進行した病態では膵β細胞からのインスリン合成/分泌不全が生じる。我々は膵β細胞におけるインスリン遺伝子転写機構について検討してきた。インスリン遺伝子転写の生理的刺激は血中糖濃度の変化であり、インスリン遺伝子プロモーター内にグルコース応答領域が数カ所存在している。現在までにグルコース応答領域に結合する転写因子がいくつか報告されているが、我々はPDX-1がサイトカインに応答してインスリン遺伝子発現を制御すること、また新たな転写因子PREBがグルコース応答領域に結合してインスリン遺伝子転写を促進することを明らかにした(Diabetologia 2006)。またグルコースによるインスリン遺伝子発現の細胞内情報伝達系としてCaMKK/CaMKIVカスケードを新規に同定してきた(Diabetes 2004)。これらの研究の最終目的は糖尿病患者の治療方法の改善にある。 本年度は、膵β細胞においてglucose sensorとしてインスリン遺伝子発現を調整するglucokinaseについて検討し、発現調節機構を解明した。インスリン受容体の細胞内情報伝達系と同一のPI3-K/Akt pathwayはglucokinaseを発現誘導し、インスリン生合成を促進する作用を認めた(Endocrinology 2007)。現在こられの知見を総合して、新たな膵β細胞の再生実験を遂行している。我々が目指す再生膵β細胞は、生理的でより安全かつ簡便に作成できる細胞である。また、我々は血液疾患の治療として骨髄移植を手掛けてきた経験を生かして、多能性幹細胞としてのヒトの骨髄中のmesenchymal stem cellに着目している。この細胞は同定/分離が簡便であり、増殖能を有し、生着率が高いことが知られている。また最近の報告によれば、様々な細胞に分化誘導が可能であると報告されている。今回の研究はこのmesenchymal stemcellから膵β細胞を分化誘導し、さらにグルコース応答性インスリン遺伝子発現機構の解明から得られた知見を利用して、再生膵β細胞に生理的なグルコース応答性を獲得させるものである。
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