研究概要 |
C57BL/6マウスの遺伝背景をもつCXCR3およびCCR5ノックアウトマウスをNODマウスに第6世代まで繰り返し交配した。その時点でNODマウスに特異的な遺伝子座(ldd loci)を中心にpolymorphic microsatellite markerを用いたスクリーニングを行い、NODマウスの遣伝背景となっていることを確認した。NODマウスの遺伝背景をもつ第6世代のヘテロノックアウトマウス同士を交配させてホモノックアウトマウスを作成した(スピードコンジェニック法)。生後6ケ月齢の時点においてホモCXCR3ノックアウトNODマウスの糖尿病発症率は野生型NODマウスと比較して有意に発症率が高かった。さらに、ホモCXCR3ノックアウトNODマウスの脾細胞をNOD-scidマウスへ移入した場合、野生型NODマウスで同様の移入をした場合に比べて著しく早く糖尿病を発症した(この際、膵島組織の検討では、著しく破壊の進んだ膵島炎像を観察した)。さらに、免疫学的評価では、発症の直前と思われる時点で、膵所属リンパ節における免疫制御性因子(TGF-β,IL-10,Foxp3など)の集積がホモCXCR3ノックアウトNODマウスで著しく、膵島局所そのものでは、野生型NODマウスの方で上述の免疫制御性因子が優位であったことから、CXCR3を欠如することで、何らかの原因で免疫制御性細胞が膵所属リンパ節から膵島局所に移行できないために、発症が促進された可能性が推察された。 このような現象はCCR5ノックアウトNODマウスにおいては認められなかった。
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