研究課題/領域番号 |
19591074
|
研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
村田 善晴 名古屋大学, 環境医学研究所, 教授 (80174308)
|
研究分担者 |
加納 安彦 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50252292)
高岸 芳子 名古屋大学, 環境医学研究所, 助教 (50024659)
林 良敬 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (80420363)
神部 福司 名古屋大学, 環境医学研究所, 准教授 (00211871)
|
キーワード | 甲状腺ホルモン / カルシニューリン / 骨 / RCAN2 / ノックアウトマウス |
研究概要 |
甲状腺ホルモン(T3)が骨形成や代謝に重要な役割を果たしていることは、臨床的によく知られているが、その作用の分子機構には不明な点が多い。我々が以前、T3応答性遺伝子としてクローニングに成功したRCAN2は、神経系で強く発現しているカルシニューリン(CN)の内在性調節蛋白をコードしている。最近、CNが骨形成および代謝に重要な役割を演じてことが報告されたことから、T3はRCAN2の発現調節を介して、CNの活性を調節することにより骨形成や代謝に作用を発揮するのではないかと想定して、本研究を企画した。そこで、初年度である2007年度では、T3が新生仔マウスの骨組織でRCAN2の発現を調節しているか否か、また甲状腺機能低下マウスの骨の発達はどのように障害されるかを検討した。このため、母獣マウスに妊娠14日より実験終了までメチマゾールを投与し、甲状腺機能低下新生仔マウスを作製した。また、メチマゾールを投与しない群をコントロールとした。長幹骨として脛骨と腓骨、扁平骨として頭蓋骨よりRNAを抽出し、定量的RT-PCRによりRCAN2 mRNAを定量した。また、両群生後16日マウスの脛骨をHE染色して、甲状腺機能低下マウスにおける骨の形成異常を解析した。その結果、RCAN2mRNAの発現は脛骨・腓骨、頭蓋骨共に甲状腺機能低下マウスではコントロールに比べ3分の1以下に低下していた(脛骨・腓骨:p<0.05,頭蓋骨:p<0.005)。また、甲状腺機能低下マウスの脛骨では、生後16日の時点でも2次骨化中心が形成されていないなど、骨形成の遅延が明らかであった。一方、我々はRCAN2のノックアウトマウスの作製に成功した。このノックアウトマウスは、大きな奇形を示すことがなく、生殖能も保たれている。現在、RCAN2のノックアウトにより骨形成や代謝にどのような変化が生ずるかを形態学的に解析している。
|