私たちが代謝刺激によって変動する遺伝子として同定したGI1とAC1の二つの新規ケモカインの生理機能およびメタボリックシンドロームなどの病態との関連についての研究を行ってきた。GI1(CXCL14)は肝細胞においてGHによって誘導される機能不明のケモカイシとして同定したが、血中濃度がインスリンによって調節されており、脂肪細胞においてインスリンシグナルの感受性をよくすることによって、インスリン依存性のグルコース取り込みを促進することが明らかになった(BBRC 2007)。CXCL14のノックアウトマウスが高脂肪食に対して肥満を来しにくいことが2007年に報告されており、合わせて考えると高脂肪食による肥満において重要な役割を果たしていると考えられた。AC1は新規アディポカインとして同定したが、in vitroでは脂肪細胞におけるインスリンシグナルを調節し、すでに樹立したノックアウトマウスを用いた解析では膵ラ氏島においても重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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