研究課題/領域番号 |
19591079
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
吉本 勝彦 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 教授 (90201863)
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研究分担者 |
岩田 武男 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10350399)
水澤 典子 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (80254746)
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キーワード | 癌 / 遺伝学 / 内分泌 / 下垂体 |
研究概要 |
我が国における家族性成長ホルモン(GH)産生腺腫家系における遺伝子解析 虎の門病院の1家系、東京医大の2家系、帝京大学ちば総合医療センターの1家系の計4家系について、AIP遺伝子の胚細胞変異の有無について検討した。巨人症を示した2人の兄弟とその叔父(巨人症)の3名のGH産生腺腫を示す家系において、第11染色体長腕13.3領域に位置するAryl hydrocabon receptor-interacted protein(AIP)遺伝子(2006年にフィンランドのグループにより、家系内にGH産生腺腫あるいはプロラクチノーマを示すpituitary adenoma predispositionの原因遺伝子として同定)にc.286-287delGTの胚細胞変異を認めた。本変異の結果、短縮型AIP蛋白が生成されることとなる。しかも兄弟におけるGH産生腺腫それぞれにAIP遺伝子座位に正常対立遺伝子の消失(LOH)を認めた。すなわち、腫瘍においては両対立遺伝子が不活化していることから、本遺伝子が癌抑制遺伝子と作用していることを確認した。さらに、1個のGH産生腺腫において、AIP遺伝子の近傍に位置する多発性内分泌腫瘍症1型の原因遺伝子であるMEN1の体細胞変異とLOHを認め、MEN1も不活化していることを確認した。さらに、全くGH産生腺腫の症候が認められない母親、長兄にもAIP変異が認められることから、浸透率の低さが示唆された。残りの3家系においてはAIP変異は認められなかった。 孤発性GH産生腺腫の解析 家族性発症が認められない40例のGH産生腺腫においてAIP遺伝子の変異を解析した。3種類の新規-塩基多型の他、1例にc.145G>A(バリンからメチオニンへの変化)を検出した。この変化は191名の健常日本人には認められなかったが、発症に関与しているか否かについては今後の検討が必要である。
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