研究概要 |
我が国における家族性成長ホルモン(GH)産生腺腫家系における遺伝子解析 帝京大学ちば総合医療センターの家族性巨人症を示す1家系(姉・妹の2例)について、AIP遺伝子の胚細胞変異の有無について検討した。第11染色体長腕13.3領域に位置するAryl hydrocabon receptor‐interacted protein(AIP)遺伝子(2006年にフィンランドのグループにより、家系内にGH産生腺腫あるいはプロラクチノーマを示すpituitary adenoma predispositionの原因遺伝子として同定)に、エクソンおよびイントロン部分には胚細胞変異を認めなかった。プロモーター部分1,200bpの塩基配列を検討したところ、c.‐270‐269CG>AAとc.‐220G>Aの変化を両名に認めた。この変化はコーカサス人96名、日本人78名には認めらなかった。これやの部位は転写因子の結合配列を有することから、遺伝子発現に関与している可能性がある。 AIP過剰発現による細胞増殖抑制 HEK293,GH3,TIG3細胞に野生型AIPを発現させると細胞増殖抑制が認められた。変異型では、その作用を有していなかった。 正常下垂体および下垂体腺腫におけるAIP蛋白の発現解析 免疫組織化学法および免疫電顕法により発現を検討した。正常下垂体ではAIP蛋白はGHとプロラクチン細胞に局在し、分泌顆粒に存在すること、散発性下垂体腺腫においては、全てのサブタイプに発現していることを認めた。GH腺腫においては正常GH細胞と同様に分泌顆粒に存在するが、プロラクチン産生腺腫、ACTH産生腺腫、非機能性腺腫においては分泌顆粒ではなく細胞質に局在していることを認めた。
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