Wnt/LRP5系が骨形成を促進するシグナルとして重要な働きを担うことが知られている。本研究ではWntの共役受容体として機能することが最近新たに報告された膜型タンパク質Ryk(receptor-related tyrosinekinase)について、Wntによる骨形成促進作用への関与とそのメカニズムを解明することをめざして、本年度は以下の成果を得た。 1.骨芽細胞系細胞におけるWnt/Ryk系の解析:マウス間葉系細胞株であるC3H10T1/2細胞を用いてWnt受容体およびRyk受容体の発現をRT-PCRおよびreal-time PCR法にて検討した。培養C3H10T1/2細胞はWnt受容体およびRyk受容体のmRNAをほぼ同等に発現していた。受容体の発現はWesterhblot法により、蛋白レベルでも確認された。 2.siRNAを用いたLRP5受容体とRyk受容体のノックダウン:LRP5遺伝子とRyk遺伝子に対する合成siRNAを用いてC3H10T1/2細胞におけるそれぞれの受容体のノックダウン効率を検討した。LRP5遺伝子とRyk遺伝子は、それぞれreal-time PCR法によるmRNAの発現レベルで70-80%がノックダウンされていた。蛋白レベルでも受容体のノックダウンを確認した。受容体のshRNAを発現するウイルスベクター系を構築し、上記細胞に発現させてそれぞれの受容体をノックダウンした安定細胞株を現在作成中である。
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