Wnt/LRP5系が骨形成を促進するシグナルとして重要な働きを担うことが知られている。本研究はWntの共役受容体として機能することが最近新たに報告された膜型タンパク質Ryk(receptor-related tyrosinekinase)について、Wntによる骨形成促進作用への関与とそのメカニズムを解明することをめざし、本年度は以下の成果を得た。 1.shRNAを用いたLRP5受容体とRk受容体のノックダウン: LRP5遺伝子とRyk遺伝子に対するshRNAを発現するウイルスベクター系を構築し、C3H10T1/2細胞に発現させてそれぞれの受容体をノックダウンした安定細胞株を作成した。それぞれの遺伝子の発現をmRNAならびに蛋白レベルで検討し80-90%のノックダウンを確認した。この細胞系を用いてWnt3aのconditionedmediumに対するALP活性、TCF/β-cateninを介した転写活性化への効果を検討した。 2.LRP5遺伝子とRk遺伝子の一塩基多型と骨密度の関連解析: LRP5遺伝子とRyk遺伝子の複数の一塩基多型(SNPs)について健常者について予備的に検討を行った。これをもとに一般住民検診における骨密度検診受診者を対象に、それぞれの遺伝子の一塩基多型(SNPs)と骨密度の関連解析を開始した。骨密度検診受診者に対しては、ゲノムDNAの採取と遺伝子解析について文書にて同意を取得した。
|