CENP-50がキネトコアに局在するメカニズムに関して様々な欠損変異体をもちいて検討し、キネトコアへの局在が減弱する変異体を得ることに成功している。しかし完全にキネトコアへの局在が消失する変異体の同定にはまだ至っていない。もしキネトコアへの局在が消失する変異体が同定されればそのドメインのもつ生物学的意義の検討をおこなっていく予定である。そのドメインの機能としてPolo kinaseと協調して染色体の分配や安定性への関与を予想している。すなわちカポジ肉腫に関連したヘルペスウイルスのLatent Nuclear Antigen (LNA)に相互作用するタンパクであるCENP-50が癌化のプロセスにそのドメインのもつ機能の破綻を介して関与している可能性があり、今後この仮説を検討したいと考えている。現在MgcRacGAP、CENP-50およびクロマチン構造関連分子が、細胞周期のどの時点で相互作用するのかを詳細に解析中である。MgcRacGAPとクロマチンリモデリング因子間の結合について相互作用部位についてツーハイブリッド法にて解析中である。今後はツーハイブリッド法以外のpull-down法や共免疫沈降法等を予定している。また結合部位が同定されれば、結合能のない変異体を作製しその機能を解析する。これらの解析を通して、MgcRacGAPのGAPとしての活性、クロマチンリモデリング因子のリモデリング活性およびポリコームグループのヒストンメチル化活性等が結合により影響を受けるかどうかが明らかにできる。それによりそれぞれの相互作用のもつ生物学的意義を検討していく予定である。
|