研究課題/領域番号 |
19591102
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
上田 孝典 福井大学, 医学部, 教授 (40160171)
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研究分担者 |
吉田 明 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (80252005)
山内 高弘 福井大学, 医学部附属病院, 講師 (90291377)
岸 慎治 福井大学, 医学部, 助教 (30334816)
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キーワード | 癌 / 内科 / 薬剤耐性 / 薬学 / Glutathione S-trans ferase μ / Bcl-2 / ara-CTP / 5'-nucleotidase II |
研究概要 |
我々は薬剤耐性白血病の難治化の大きな要因であるmultifactorialな耐性機序に着目し検討をすすめてきた。今回は、下記の3点を明らかにした。[Glutathione S-transferase μ(GSTM1)によるデキサメタゾン耐性]GSTM1発現とデキサメタゾン耐性との関連をはじめて明らかにした。すでに、本耐性はグルタチオン抱合や、ステロイドレセプター発現とは相関せぬことを明らかにしている。今回、その耐性機序として、GSTM1発現細胞ではデキサメタゾンによるp38-MAPKのリン酸化の抑制と、その下流にありapoptosisに直接関与するBH3 only proteinであるBimの発現抑制を認めた。更に、GSTM1発現細胞ではNF-κBp50の構成的活性化及び、p50の活性化因子であるBcl-3の発現上昇も認め、両者あいまってのdual mechanismによるapoptosis抑制の獲得という、興味ある知見を見出した。[Bcl-2高発現細胞の薬剤耐性]Bcl-2を高発現する濾胞性リンパ腫由来細胞株SU-DHL-4やBcl-2高発現白血病細胞株697-Bcl-2では、Bcl-2低発現細胞株697-neoやRamosに比し有意に細胞内グルタチオン濃度は高値であった(2-3倍)。また、VP-16およびSN-38に対し、697-Bcl-2は697-neoと比較して耐性を示した。以上よりBcl-2の発現と細胞内グルタチオン濃度と抗がん薬感受性3者の連関が示唆された。 [ara-C耐性の予測因子]我々は従来より、ara-Cの細胞内活性化物ara-CTPの感受性予測因子としての重要性に着目してきた。今回、deoxycytidine kinaseと細胞内5'-nucleotidase IIの比は、ara-CTPの産生量及びara-Cの感受性と相関することを明らかにし、その予後予測因子としての可能性を示唆した。
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