研究課題/領域番号 |
19591115
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
石川 秀明 山口大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40294623)
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研究分担者 |
小幡 雅則 山口大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80158831)
水上 洋一 山口大学, 総合科学実験センター, 准教授 (80274158)
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キーワード | 骨髄腫 / IL-6 / Lyn / CD45 / PI3-kinase / Akt |
研究概要 |
骨髄腫細胞は、CD45陽性の細胞がIL-6に反応して増殖しており、IL-6によって活性化されるSTAT3とERK1/2に加えて、CD45によって制御されるsrc型PTK、Lynの活性が必須である。Lynを過剰発現させたIL-6依存性骨髄腫細胞株の増殖が亢進したことから、Lynの下流で増殖刺激シグナルが増幅されていると考えられた。Lynを過剰発現した骨髄腫細胞株では、STATおよびERK活性は変化しないが、Lynの著明な活性化とともにLynとPI3-kinaseの結合およびPI3-kinase、Aktの活性が亢進しており、PI3-kinase阻害剤により細胞増殖が抑制された。さらに、Bad、FoxO、IKK、p70S6-kinase、p27^<Kip1>、MDM2などがAktの下流で働いている可能性が示唆された。 質量分析により骨髄腫細胞においてIL-6刺激後に脂質ラフトに存在する分子、チロシン・リン酸化されるタンパク質および脂質ラフト外でチロシン・脱リン酸化されるタンパク質を複数同定している。その中に含まれる、HSP90がIL-6を含め種々の刺激伝達経路に関与しており、骨髄腫の治療薬としてHSP90阻害剤であるGeldanamycinの有効性が報告されていることを考え合わせると興味深い。CD45はシステイン残基を介したジスルフィド結合の有無がPTP活性に重要であり、Lynもまたレドックス制御を受けており、酸化ストレスに反応して活性化されることから、thioredoxin類も候補として興味深い。 IL-6依存性骨髄腫細胞株を用いて、DNAマイクロアレイによるIL-6刺激後の遺伝子発現の経時的解析を行ったところ、早期には多くのSTAT3標的遺伝子、遅れていくつかのNF-κB標的遺伝子の発現が認められた。今後、これらの遺伝子の中でCD45-Lynの下流で働く増殖誘導遺伝子群を同定していきたい。
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