研究課題
目的:成人T細胞性白血病・リンパ腫(ATL)は治療早期から多剤耐性となりやすいため極めて予後不良な疾患である。本研究の目的は(1)ATLの発症・進展における遺伝子変異の蓄積にhnRNP B1がどのように関与するか細胞およびマウスを用いた固体レベルで明らかにする。(2)hnRNP B1を標的とする新規抗癌剤がATLの親規治療薬として有望か前臨床試験において確認することを目的とする.成果:(1)ATL細胞におけるDNA修復阻害因子hnRNP B1の過剰発現とその意義:昨年度はhnRNP B1タンパク質が、ATLの70%以上の症例において過剰発現し、ATL細胞を用いた解析ではhnRNP B1はDNA依存性キナーゼに結合しその酵素活性を阻害すること、hnRNP B1の量と非相同末端修復(NHEJ)の活性は逆相関の傾向にあることを明らかにした。今年度はhnRNP B1トランスジェニックマウスにおいて放射線照射によりリンパ腫の発生が増加するかを検討した。放射線照射により胸腺の腫大と肺へのリンパ球の浸潤傾向が認められた。(データ解析中)(2)新規抗がん剤SMS-06によるATL細胞に対する抗腫瘍効果の解析SMS-06はIC_<50>として50-100nMの濃度で種々のATL細胞の増殖を抑制した、その機序としてG2/M停止とその後のアポトーシスの誘導によることを明らかにした。細胞内標的分子としてSMS-06はトポイソメラーゼIIとPI-3キナーゼ経路を阻害する作用があることを明らかにした。現在直接の標的分子の同定を行っている。またSCIDマウスへのATL細胞(MT1)の移植系においてSMS-06の腹腔内投与は移植腫瘍の増殖を抑制した。副作用については、一過性の骨髄抑制以外には明らかなものは認められなかった。(論文準備中)
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http://syllabus.dl.saga-u.ac.jn/res/jp/res_search_light_jp.html