c-mybは成体型造血の発生に必須であり、その遺伝子破壊マウスは成体型造血の不全による貧血で胎生15日前後に致死となる。このc-Mybが血液幹細胞の多様性に関与する可能性を考えている。そこで、その詳細な機能解析を行うためにES細胞のin vitro分化系とテトラサイクリン(Tet)による遺伝子発現系を組み合わせて研究を推進した。骨髄球およびB細胞の検討は既に行っていたが、今回はT細胞の検討を詳細に行った。血管内皮細胞からのB細胞分化はc-mybの強制発現により回復せず、この間、IL7Rα鎖陽性の細胞は観察されていない。しかし、T細胞分化において(CD44^+CD25^+)DN2の細胞集団まで分化が進行し、停止していた。このc-mybの意義を見いだすことを行ったが、ES細胞のin vitro分化系における検討は様々な制約から解析が困難であった。そこで現在、マウスにおける検討に移行して検討中である。さらに、c-myb発現を全血球においてモニターするノックインマウスの作成を行ったが、標的遺伝視座へ蛍光タンパク質遺伝子をノックインしても、蛍光は観察できなかった。そこで、現在この理由を検討中である。しかし、原因は蛍光タンパク質の問題であると考えており、方法論を一新し、別の遺伝子のノックインによるマウスの作成を始めている。また、c-myb発現の意味を広く解析する為に 成体骨髄中におけるc-mybの発現を様々な細胞集団に分画して検討を行っている。
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