マウス個体内でのc-mybの転写を正確にモニターする目的で、c-myb遺伝子の3'-UTR上にires-ZsGreenDRの挿入されたc-mybレポーターES細胞を作成を試みた。同様な方法論によるレポータ-マウスは、すでにPU.1やIL10などがある。ZsGreenDRは、タンパク質分解配列を有する新規緑色蛍光タンパク質である。ires-ZsGreenDRは、目的の遺伝子領域に正確にノックイン出来たが、RT-PCRやNorthern Blottingの解析により、その遺伝子からは転写が行われていないことが明らかとなった。そこで、c-myb遺伝子のSTOPコドンを除き、アラニンのリンカーによりEGFPとの融合タンパク質を発現するES細胞を試みた。このc-Myb-EGFPは核内に強く存在する。現在までに内因性のc-Mybを染色できる抗体が無いことからも、この分子の発現をモニターすることで、c-Mybのタンパク質としての機能も解析できる。現在このES細胞によるEGFPの発現を検討している。 先の研究課題に引き続き、c-myb-Tet/KOからのT細胞分化を検討した。この実験には、DOP1(notchリガンドdeltal発現OP9ストローマ細胞)を用いた。このDOP1により、野性型ES由来内皮細胞から、Single Positive T細胞へ分化した。そこで、この系を用いてc-myb発現のT細胞への影響を検討した。c-myb発現によりDN2までの成熟は観察されたが、DN3ステージ(CD44^-CD25^+)への進行が妨げられた。そこで、様々な前駆細胞の単離を試みたが、ES細胞のin vitro分化では得られる細胞数も少なく、技術的に不可能であった。
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