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2008 年度 実績報告書

血流状況下におけるVWF-ADAMTS13の機能連関の解析

研究課題

研究課題/領域番号 19591129
研究機関奈良県立医科大学

研究代表者

杉本 充彦  奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (80192128)

研究分担者 松本 雅則  奈良県立医科大学, 医学部, 准教授 (60316081)
キーワードVWF / ADAMTS13 / 血流 / フローチャンバー / 血栓症 / ずり応力 / 血小板
研究概要

昨今、本邦では死因としての血栓性疾患の占有率が悪性新生物を上回る勢いで増大しており、血栓症に対する社会的な関心が高まっている。心筋梗塞や脳梗塞をはじめとした致死的な動脈血栓症は、血流の欝滞状況で生じる静脈血栓症とは異なり、早い血流下(高いずり速度下)で成立することが知られている。この高ずり速度下での血栓形成にはvon Willebrand因子(VWF)が主役を演じており、高ずり速度下でのVWF機能の適正な制御が致死的動脈血栓症対策にもっとも重要と考えられる。VWF機能は生体ではADAMTS13によって制御されており、動脈血栓症形成メカニズムの解明においては、VWFおよびADAMTS13両者の機能連関の解明が不可欠である。
以上の経緯から私たちは、ずり応力とADAMTS13活性との機能連関を検索する目的で、in vitro血液還流装置を用いたフロー実験をおこなった。その結果、ADAMTS13は高ずり応力下での血栓形成現場でVWFを切断し、リアルタイムにVWF機能ならびに血栓成長を制御していることが判明した。このADAMTS13のVWF切断メカニズムはずり応力依存性であり、血流に直接暴露される血栓外表面部に優先的であった。すなわち、血栓成長先進部ではVWFに血小板が結合することで、ずり応力によるVWFマルチマーへのストレッチング効果が増強されADAMTS13によるVWF切断活性が増幅されるのである。以上の成績から、生体では、<VWF>___、血小板、および<ADAMTS13>___の三者が、ずり応力のタクトの下で絶妙なハーモニーを奏でて、致命的な動脈閉塞を防御しつつ適正な止血血栓形成を司っていると想定された。今回明らかとなったADAMTS13のVWF切断メカニズムは、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)の病因論を明確に説明するのみならず、止血機転が機能した後に血管閉塞のみを特異的にブロックするユニークなものであり、止血機能と抗血栓機能とが両立する新世代型の抗血栓症戦略の可能性を示唆する。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2009 2008

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 動脈血栓症の制圧-VWF-GPIb軸依存性血小板血栓形成を調節するADAMTS13の基礎・臨床病態解析2009

    • 著者名/発表者名
      藤村吉博, 杉本 充彦, 他
    • 雑誌名

      最新医学 64

      ページ: 290-321

  • [雑誌論文] Functional imaging of shear-dependent activity of ADAMTS13 in regulating mural thrombus growth under whole blood flow conditions2008

    • 著者名/発表者名
      Shida Y, Sugimoto M, et al
    • 雑誌名

      Blood 111

      ページ: 1295-1298

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 血流下におけるADAMTS13活性発現機構2008

    • 著者名/発表者名
      杉本 充彦, 他
    • 雑誌名

      血液・腫瘍科 56

      ページ: 717-723

  • [雑誌論文] フローチャンパーシステムを用いた血栓形成メカニズムの解析-ADAMTS13による血小板血栓制御機構-2008

    • 著者名/発表者名
      杉本 充彦
    • 雑誌名

      日本血栓止血学会雑誌 19

      ページ: 814-821

    • 査読あり
  • [学会発表] ADAMTS13 gene deletion aggravates ischemic brain damage2008

    • 著者名/発表者名
      Nishio K, Sugimoto M, et al
    • 学会等名
      The 50^<th> annual meeting of American Society of Hematology
    • 発表場所
      San Francisco (USA)
    • 年月日
      2008-12-08

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公開日: 2010-06-11   更新日: 2016-04-21  

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