研究課題
これまでの研究成果(平成17-18年若手研究B)からIL-21Rを欠損した脾細胞を用いると誘導されるGVHDが減弱することが示されている。つまりIL-21シグナルのない状態ではGVHDは引き起こされにくいと考えられたため、GVHDを予防、治療するためにIL-21のデコイ受容体を作成し、骨髄細胞に強制発現させ移植を行った。デコイ受容体は細胞内ドメインの大部分を欠損させたため、リガンドであるIL-21と結合はするものの、シグナルを伝達しない。生理的なIL-21と結合し、その機能を競合的に抑制することが期待された。実際、in vitroの実験ではデコイ受容体は上清中のIL-21の濃度低下をもたらした。マウスを用いた移植実験では、当初CD4細胞に感染させ移植していたが、十分な発現を得られなかった。最終的には骨髄細胞に発現させたところ、高効率高発現を得ることができた。多数のマウスに移植し、コントロールベクターを感染させた場合と比較するとデコイ受容体は有為に生存率を上昇させることが明らかとなった。デコイ受容体はIL-21のシグナルを抑制することで、GVHDを抑制し、生存率を高めたと推察された。このことはIL-21の阻害がGVHDの予防、治療に応用できる可能性を示している。さらにP815(白血病細胞株)との共移植の系を用いることでGVL効果は温存されるということを示唆した。これらの結果は以前に我々が示したノックアウトマウスの結果とよく合致している(平成17-18年若手研究B)。
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