研究課題
インヒビター陽性血友病症例に対する第VIII因子の頻回投与により誘導される免疫寛容誘導機序を明らかにすることを目的とし、血友病Aマウスに植え込み型マイクロポートシステムを導入し、安定的な頻回投与を実現することにより、抗原特異的免疫寛容が誘導されるマウスモデルの確立と免疫寛容誘導機序ついて以下の研究を進めた。1)易出血性である血友病Aマウスに対して、経皮経頸静脈的にカテーテル先端を上大静脈に留置し背部皮下にマイクロポート本体を植え込む安全で再現性のある手術技法を確立した。2)マイクロポート植え込みマウスに対して、0.05単位/g体重の第VIII因子の反復間欠的投与による第VIII因子感作マウスを、その抗体価によりhigh responder(主として10BU/mL以上)マウス群とlow responder(主として10BU/mL未満)マウス群とに分けて作製した。3)マウスポートシステムを導入した本免疫寛容誘導マウスモデルにおいて、抗原量(0.05-0.5単位/g体重)や投与間隔(3回/週〜連日)を変えることにより、免疫寛容誘導の成立条件を検討した。その結果、0.05単位/g体重で3回/週の第VIII因子投与マウス群では、10回暴露後より急峻な抗体価の増加を認め、20回暴露以降でインヒビター力価がほぼ一定となることが明らかとなった。さらに0.05単位連日投与マウス群では、10回暴露までの抗体価の増加は同様であったが、60回暴露以降で抗体価の低下およびAPTT値が短縮する傾向が認められた。連続投与開始前の抗体価(high responder群とlowresponder群)による免疫応答に差異はみられなかった。これらのことから、血友病Aマウスに対し植え込み型マイクロポートシステムを導入し、第VIII因子の安全な頻回投与を実現させることにより、免疫寛容誘導マウスモデルが作製可能であると考えられた。
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