研究概要 |
1)Saturation mutagenesis screenを用いたABLキナーゼ阻害剤の耐性化機序の解析:pMSCVレトロウイルスベクターにp210BCR-ABL cDNAを組み込み、mutS-,mutD5-,musT-E.coliをトランスフォームする。プラスミドDNAを精製後、ecotropic packaging cell line GP86にリン酸カルシウム沈降法を用いてトランスフェクトし10^5CFU/ml以上の高力価ウイルスを作成する。次にBCR-ABL cDNAにランダムに変異の入ったレトロウイルスベクターをIL-3依存性細胞株BaF3に感染させ、(1)Nilotinib、(2)AUY922、(3)Nilotinib+AUY922存在下にてIL-3非依存性増殖能を獲得した耐性化クローンをpick upした。各薬剤耐性化クローンよりDNAを抽出しPCRを用いて耐性化クローンにおけるBCR-ABL遺伝子の点突然変異の種類を解析し、ABLキナーゼ阻害剤の併用によるBCR-ABLの点突然変異の発生の抑制効果を検証した。Ni Iotinib 2μMにて耐性クローンはT3151、G334Vを検出。AUY922耐性クローンではWild type BCR-ABLのみであった。Nilotinib+AUY922では耐性クローンの検出は認めなかった。 2)In vivoにおけるAUY922+Nilotinibの併用効果の検討:Saturation mutagenesis screenをもちいて作成したBaF3細胞をヌードマウスに移植し(1)Nilotinib、(2)AUY922、(3)Nilotinib+AUY922の併用効果について解析した。Nilotinib+AUY922群では有意な生存期間の延長が確認された。ABLキナーゼ阻害剤とHSP90阻害剤との併用効果は耐性化クローンの出現を抑制するとともに、in vivoにおいても有効性が確認された。
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