研究概要 |
代表研究者の山口博樹らの米国での研究結果(Lancet.2003 362:1628-163,Blood.2003 102 916-918,NEJM2005 352:1413-1424)をさらに発展させるために以下を行った。 1、多施設共同によるテロメラーゼ複合体遺伝子異常をもった骨髄不全症の検索ならびに機能解析 骨髄不全症140症例の検体を牧集しDKC1、TERC、TERTの解析を行った。骨髄異形成症候群(MDS)の1症例にTERCの変異n323C/Tを認め、機能解析でこの変異はhaploinsufficiency効果によってテロメラーゼ活性を障害していることを証明できた(Blood Cells Mol Dis.2008;40:185-91)。その他には再生不良性貧血(AA)の1症例にTERT G280Kを認め、この変異がhaploinsufficiency効果によってテロメラーゼ活性を障害していることを証明できた。 2、DKC1、TERC、TERT以外のテロメラーゼ複合体遺伝子の変異検索 NOP10、TERF1、TERF2、TINF2、SBDSの変異を検索し、MDSの1症例にSBDS IVS+2T/C、AAの2症例にTINF2 R282C、TINF2 Deln871-874を認めた。この3症例はテロメアの短縮化を認め、機能解析でTINF2 Deln871-874は、TERF1への結合が障害されていることを証明できた。 3、テロメラーゼ複合体遺伝子異常をもったBMFに対しての骨髄非破壊的造血幹細胞移植の検討 TERT G280KとTINF2 R282Cの変異を有する症例に対して骨髄非破壊的造血幹細胞移植を施行することを検討している。
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