研究課題
本研究では、シェーグレン症候群(SS)患者において、ムスカリン作働性アセチルコリン受容体M3(M3R)に対する免疫応答を解析することにより、SSにおける唾液腺破壊の発症機序を解明し、SSに対する新しい抗原特異的治療戦略を開発することを目的とした。本年度は以下の事実を明らかにしてきた。1)抗M3R抗体の対応B細胞エピトープ解析:SS患者血清を用いて、M3RのN領域、細胞外第一、第二、第三ドメインに対する抗M3R抗体をELISA法にて解析した。その結果、それぞれのドメインに対する自己抗体が存在すること、同一患者において複数のB細胞エピトープがM3R分子上に存在すること、を明らかにした。2)M3R上のB細胞エピトープと機能:唾液腺上皮細胞由来細胞株(HSG)を塩酸セビメリンで刺激し細胞内のCa2+増減をフォローサイトメトリーで測定する系を確立し、抗M3R抗体の唾液分泌に対する機能について検討した。その結果、M3R第ニドメインに対する抗体はCa2+influxを抑制し、N領域、第一ドメインに対する抗体は増強、第三ドメインに対する抗体は影響を与えない事が判明した。すなわち、対応B細胞エピトープにより自己抗体の機能が異なる事が明らかとなった。3)SSのモデルマウスの樹立:C57BL/6マウスバックのM3RノックアウトマウスにM3Rの各領域(N、細胞外第一、第二、第三)をコードする合成アミノ酸を混合免疫し、20日目に脾臓細胞をRag1ノックアウトマウスに細胞移入した。30日目以降に単核球浸潤を中心とした唾液腺炎が認められた。浸潤細胞の主体はCD4+T細胞であり、SSの唾液腺炎に類似した組織像を呈していた。以上のように、2つのノックアウトマウスを組み合わせる事により、M3R免疫唾液腺炎モデルマウスを確立することに成功した。
すべて 2009 2008
すべて 雑誌論文 (10件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (11件) 図書 (1件)
Clin. Exp. Immunol. 155
ページ: 285-294
Arthritis Rheum. 60
ページ: 553-558
Arthritis Res. Ther. 10(Epub)
ページ: R130
Arthritis Res Ther 10(Epub)
ページ: R113
Ann. Rheum. Dis. Sep1(Epub)
ページ: R66
Int. J. Mol. Med. 22
ページ: 369-374
Arthritis Rheum. 58
ページ: 754-763
Ann. Rheum. Dis. 67
ページ: 571-572
ページ: 136-137