研究概要 |
Glucose-6-phosphate isomerase(GPI)誘導関節炎モデルを用い、RAを制御しうる分子の同定、治療法の開発を目的として研究を進めている。本年度の2計画につき詳述する。 1)GPI誘導関節炎におけるTNFα制御機構-このモデルでは発症後でも抗TNFα抗体、CTLA-4Igが著効し、これらの薬剤は抗原を加えて生じる培養系においてTNFαの産生を抑止することが明らかにされた。また、抗GPI抗体に関してはこれら治療薬の抑制効果が認められた。一方、抗IL-12抗体では効果は殆ど認められなかった(reviced)。 2)自己反応征T細胞、特にTh17細胞と自己免疫性関節炎との関係-IL-6とのリンク抗IL-17抗体をday7に投与することにより関節炎は有意に抑制された。またMR16-1(抗IL-6受容体抗体)をday0またはday3に投与した群ではGPI誘導性関節炎の発症はほぼ完全に抑制され,day8に投与した群でも関節炎は減弱された。MR16-1をday0or3に投与した群では所属リンパ節中のT_H17細胞への分化は著明に抑止された。また、これらの群では抗GPI抗体産生の抑制効果も認め、特にday8で投与したものに関しての効果が最大であった。CD4陽性T細胞増殖はMR16-1のどの治療群でも認められた(Arthritis Rheum.2008)。GPI免疫モデルでは生物学的製剤に対する治療効果がRAに近似しており、病因、および治療効果のメカニズムを探索する上で優れた動物モデルと考えられた。また,IL-6は、特にT_H17を誘導することによりGPI誘導性関節炎の発症に重要な役割を果たしていることが明らかになり、また発症直後では、T細胞増殖や自己抗体産生制御により関節炎を抑制している可能性も示唆された。
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