研究概要 |
GPI誘導関節炎モデルをべ一スに、RAを制御しうる分子の同定、治療法の開発を目的として研究を進めている。本年度の2計画につき詳述する 1)SCIDマウスを介したGPI免疫モデルにおけるB細胞の役割-自己抗体、及びFcgammaRの役割関節炎を起こしたDBA/1マウスの脾細胞と抗原の移入により、SCIDマウスにおいて関節炎が認められ、組織学的に滑膜増生や関節軟骨表面へのIgG,C3の沈着が観察された。GPI誘導マウスの脾臓からCD19+細胞やCD4+細胞を除去した細胞群の移入ではSCIDマウスに関節炎を誘導できなかった。GPI誘導マウスのIgGのみの移入ではSCIDマウスに関節炎は誘導されなかったが、CD19+細胞を除去した細胞群と上記IgG、あるいは抗GPI抗体を腹腔内投与したSCIDマウスで関節炎が誘導された。In vitroの解析では脾細胞でGPI特異的なTNFalpha,IL-6の産生が認められ(p<0.05)特にCD19+細胞を除去した細胞群での産生が多く認められた。(Tanaka Y, et al. Clin Exp Immuno1. 2009) 2)関節炎特異的TNF調整因子TIARP(TNFalpha-induced adipose related protein)の解析、関節炎制御機構との関連関節炎マウス脾臓におけるTNF関連遺伝子の発現変動をDNAマイクロアレイ法を用いて解析し、TNFalpha-induced adipose-related protein (TIARP)分子が他のTNF関連因子と比べて約20倍以上の差をもって関節炎マウス脾臓で高発現していた。TIARPの組織発現はGPI誘導関節炎マウスの炎症臓器である脾臓および関節局所にも発現していることが判明した。脾臓においては関節炎発症初期(day7)に発現が増強しその後は元のレベルまで低下する。TNF中和抗体を投与し関節炎を治療したマウス脾臓でのTIARP発現について検討したところ、コントロール抗体投与後の推移は発現がいったん上昇し、その後は低下する経過をたどる一方、TNF中和抗体投与群では発現上昇は認められず、抵値のまま推移した(投稿中)。以上のことから、GPI誘導関節炎マウス脾臓におけるTIARP発現は、TNFが強く関与していることが考えられる。また、TIARP分子は関節炎マウス脾細胞の中で特にCDllb陽性細胞に強く発現していたことも判明した。
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