研究概要 |
1.MMP13遺伝子内の遺伝子多型の探索 日本人における本遺伝子多型の検索のため,遺伝子の10個のエクソンとその近傍のイントロンに加え,プロモーター領域約3kbpと下流4kbの範囲について48名のDNA配列を決定した。この範囲には37個の遺伝子多型が見つかった。見出された連鎖不平衡(LD)地図を作成した所,LDの強いSNPがモザイク状に存在し,LDブロックとしては,2つに大きく分けられた。 2.日本人成人喘息,小児喘息との相関解析 小児喘息患者(340名),成人喘息患者(514名),成人対照者(637名),小児対照者(340名)から得たDNAについて,6個のSNPの遺伝子型を決定した。小児喘息と小児対照の比較においても,成人喘息と成人対照の比較においても共通して,プロモーター部に存在するSNP2と遺伝子の3'側下流に存在するSNP5が有意の相関を示していた。このSNP同士はr2乗が0.92と強いLDを示していた。 3.MMP13遺伝子多型のプロモーターアッセイ 喘息と関連するSNP2,SNP5,それらとLDの強いSNPがMP13遺伝子の発現に影響を与えているかどうかを確認するため,気道上皮細胞株BEAS-2Bを用いたプロモーターアッセイを行った。7種類の遺伝子断片を含む14種類のベクターについてプロモーター活性を調べたところ,喘息と相関を示したSNP2を含むプロモーター部断片を組み込んだベクターの発現が2種類のアレル間で差を示すことが示された。エクソン10の非翻訳領域に存在する遺伝子多型も発現に影響を与えていることも分かったが,この多型と喘息との相関は認められなかった。
|