研究概要 |
本研究では、重症喘息の病態に焦点を当て、喘息の重症化を規定する因子の同定とそれに基づく新規治療法開発の基盤構築を目的とした。特に近年、自然免疫と獲得免疫の両者で重要な役割を果たすことが明らかとなりつつあるIL-17ファミリーサイトカインに着目し、1)IL-17産生CD4陽性T細胞(Th17細胞)およびIL-17E(IL-25)産生CD4陽性T細胞の分化機構とT-bet及びSTAT蛋白による制御、2)アレルギー性気道炎症及び気道リモデリングにおけるTh17細胞の役割の解明を目指した。平成20年度の研究では、Th17細胞の分化機構に着目し、T-bet,STAT4,STAT6によるその制御機構をT-bet欠損マウス、STAT4欠損マウス、STAT6欠損マウス、STAT4/T-betダブル欠損マウス、STAT6/T-betダブル欠損マウスを作成し解析した。その結果、1)Th17細胞の分化は、T-bet欠損マウス及びSTAT6欠損マウスで中程度亢進し、STAT6/T-betダブル欠損マウスでは、高度に亢進すること(論文提出中)、STAT4欠損マウスではTh17細胞の分化は正常に認められたがその生存維持が障害され、その結果、Th17細胞依存的な気道炎症が減弱すること(Furuta et al. J. Immunol 2008)を明らかにした。さらに細胞移入実験によりTh17細胞のアレルギー性炎症における役割を解析し、Th17細胞はTh2細胞依存的な好酸球性炎症を増強することを明らかにした(Wakashin et al. Am. J. Respir. Crit. Care Med. 2008)。
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