研究概要 |
本研究は、成人気管支喘息患者とその主治医に対する新潟県内のアンケート調査とそれを行う県内医師ネットワークを基盤として行われたが、月経喘息の臨床的特徴とアスピリン喘息の特徴の類似性に着目し、両者を比較対照することで解析が進められた。 県内医師ネットワークを用いた疫学的解析の結果では、有月経女性喘息症例中、月経喘息と判断された症例は56症例、月経喘息ではないと判断された有月経女性喘息症例(コントロール症例)は424症例であった。月経喘息の25.5%がアスピリン喘息であり(コントロール症例は8.4%)、アスピリン喘息の月経喘息に対する重要な関与が示された。また、有喘息症状がコントロール症例26.8%と比較して47.2%と有意に高く、それに応じて経ロテオフィリン薬使用率69.6%(コントロール症例44.8%)、長期作用型β吸入薬使用率51.8%(コントロール症例32.1%)、抗ロイコトリエン薬使用率53.6%(コントロール症例37.0%)といずれも高い使用率を示し、アスピリン喘息症例との類似性が改めて確認された。 月経喘息症例の臨床検体を用いたプロスタグランジン受容体自体の発現についての検討も開始されたが、現在測定計自体の確立を目指している段階である。 新潟大学遺伝子倫理委員会の承認のもとに、対象症例の遺伝子収集が開始され、コントロール症例や非喘息症例を含め現在約300症例の検体が得られた。向後、更なる症例の蓄積と供に、2種類のロイコトリエン受容体各々に対する各4遺伝子変異(ロイコトリエン受容体1の-634C/T,475A/G,-336A/G,927T/C、同2の-819T/G,2074C/T,2534A/G,2545+297A/G)およびβ受容体の2つの遺伝子変異(codon16, codon27)を中心とした遺伝子解析を行う予定である。
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