研究概要 |
月経喘息の臨床的解析では、対象例と比し、年齢が高年齢で長罹病期間であり、ステップ3および4の症例が多かった。低無発作率であり、高い入院経験率、救急車・救急外来利用経験率を示し、AIA症例も24.2%に認められた。また、女性有生理AIA症例の解析でも、対象例と比べて、高年齢で罹病期間が長く、ステップ3および4症例の高割合、低喘息無発作率、高い入院経験率、救急車・救急外来利用経験率を示し、月経喘息症例も34.5%に認められた。以上から、月経喘息とアスピリン喘息の臨床的類似点の再現性を確認する事が出来た。 LT受容体1遺伝子の遺伝子多型については、-634C/T -475A/C -336A/G 927C/Tのアレル頻度は、月経喘息群ではA=0.611 G=0.389, G=0.611 T=0.389, A=0.389 G=0.611, C=0.556 T=0.444、対象群は、A=0.556 G=0.444, G=0.556 T=0.444, A=0.444 G=0.556, C=0.544 T=0.456と、両群間のアレル出現頻度に有意な差は認められなかった。ロイコトリエン受容体2遺伝子についても、-819G/T 2078C/T 2534A/G 2545+297C/Tのアレル頻度は、月経喘息群ではG=0.722 T=0.278, C=0.833 T=0.167, C=0.222 T=0.778, A=0.944 G=0.056、対象群は、G=0.500 T=0.500, C=0.722 T=0.278, C=0.400 T=0.600, A=0.878 G=0.112と、両群間のアレル出現頻度に有意な差は認められなかった。今回の検討では、ロイコトリエン受容体1、2の遺伝子多型について、月経喘息症例とコントロール症例間では、有意な違いは認められず、ロイコトリエン受容体変異が月経喘息発症機序に関与する可能性は低い事が示唆された。
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