研究課題
液性免疫(Th2)優位の自己免疫疾患と考えられている潰瘍性大腸炎(UC)の病態発現部位である腸管粘膜の免疫是正による治療効果を、デキストラン硫酸ナトリウム(DSS)誘発によるInflammatory bowel disease(IBD)モデルマウスを用い、Th2移行抑制可能なマウスインターロイキン4アンタゴニスト(mIL-4a)を発現するプラスミドDNAを封入したE型肝炎ウイルス様中空粒子[HEV-VLP(mIL-4a)]の経口投与による腸管粘膜免疫誘導により検討した。・DSS誘発によるIBDモデルマウスの動態 6週齢のC57BL6マウスに2%DSSを給水中に混ぜて経口投与しIBDを誘発させ経時的にマウスの動態を観察したところ、2%DSS投与後6日目から顕著な体重の減少、大腸の萎縮、血便を伴う下痢がみられた。また、疾患部位である大腸組織にも、5日目までとは異なり著しい粘膜病変が観察された。さらに2%DSSの継続投与を続けたが10日目以降は体重の増加を示し、腸管粘膜上皮組織の再生も見られた。・HEV-VLP(mIL-4a)によるIBDの治療効果 上記のコントロール群ではDSS投与開始から9日目の体重が約85%まで減少したが、この間に2回のHEV-VLP(mIL-4a)を投与した群での体重減少は約95%に抑えられておりIBDに対する治療効果が示唆された。さらにReal time-PCRを用いて疾患部位である大腸(9日目)のサイトカインプロファイルを作製し免疫学的解析を行ったところ、コントロール群と比較しHEV-VLP(mIL-4a)投与群では、IL-17、IL-27ならびにSOCS3の発現誘導がみられた。これらのサイトカインは、リモデリングやIL-6抑制効果が報告されており、病態発現部位の局所免疫是正による粘膜免疫療法の有用性が示唆された。
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