研究概要 |
当研究の目的である関節リウマチ(RA)の重症型(ムチランス型)に関連する遺伝子を探索するために、平成19年度は主に3施設(京都大学附属病院、国立病院機構相模原病院、道後温泉病院)でRA患者のDNA検体を収集した。これまでに計1897例のRA検体を収集し、そのうちムチランス型78例、軽症型64例を認めた。各病型群の患者背景は年齢がそれぞれ63.5±10.7才、64.4±10.0才、男女比が67:2、44:14、罹患年齢は29.4±11.1年、17.6±9.1年、stageは3.9±0.3、1.9±1.0、classは2.7±0.7、1.7±0.7であった。ムチランス型78例と軽症型64例を含む計400例のRA検体からDNAを抽出した。当初は候補遺伝子をあげてタイピングする予定であったが、予定を変更し30万SNPを網羅したDNAチップ(Illumina社HumanHap300)を用いて全ゲノムにわたるSNPのタイピングを行った。関連解析にてp値の低いものから上位20SNPsを抽出すると染色体chr1,2,3,4,8,9,12,13,19に限られており、HLAを含むchr6は上位20位には入っていなかった。ただし、最も低いp値でも1.09x10-5と30万SNPを対象にすると偶然の確率で出現する程度であった。今回の解析では十分な有意差を示すSNPは検出されなかったが、本年度の成果としては約2000例と多数のRA患者DNAを収集できたことが挙げられる。平成20年度には症例数を増やしたり、重症型の定義を広げることで2次スクリーニングを行うことで、重症化に関わる遺伝子(多型)を検索し、将来のテーラーメード医療や病態の解析に役立てたい。
|