研究課題
抗アレルギー作用、抗酸化作用を有するフラボノイドの適切な摂取によるアレルギー疾患に対する食事療法や予防法の開発を目指して、以下の事を明らかした。(1)スギ花粉症患者さんを対象として、フラボノイドの有効性を、2重盲検プラセボ比較対照試験において検討した。平成19年度には花粉飛散後に試験(治療試験)を開始し、平成20年度においては花粉飛散前より試験(予防試験)を開始した。プラセボと比較して酵素処理イソケルシトリン(ケルセチン配糖体)100mg/日摂取群においては、両試験において、ともに結膜炎症状が軽減することが明らかとなった。しかしながら、鼻炎症状に対する効果は弱く、また血清IL-4、IL-13、IgE値に変動は認めなかった。(2)Ovalbumin感作喘息モデルマウス、アトピー性皮膚炎モデルマウス(NC/Nga)において、酵素処理イソケルシトリンの経口投与で、それぞれ気道過敏性の抑制傾向と皮膚厚みが低下することが明らかとなった。フラボノイド(酵素処理イソケルシトリン)の摂取が、スギ花粉症患者さん、喘息やアトピー性皮膚炎動物モデルにおいて、アレルギー症状の軽減に有効であることが明らかとなった。今後さらに、様々なアレルギー疾患において、フラボノイドの摂取が症状軽減に有効なのか、摂取用量を増量し検討したい。フラボノイドは、抗アレルギー作用、抗酸化作用、最近では、ダイオキシンなどの環境有害物質による芳香族炭化水素受容体活性化を抑制する作用も報告されているが、in vivoにおける効果がどの機序によるのか、今後の解析を要する。
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