研究課題
本研究では重篤な呼吸器感染症を引き起こす高病原性鳥インフルエンザ(H5N1)ウイルスに対して、ウイルス側および宿主側因子を各々操作することにより、複雑なウイルス病原性(Pathogenesis)のメカニズムを明らかにすることが目的である。これまでにヒトにおけるウイルス(呼吸器)感染のin vitroモデルとして、大量の細胞調製が可能なブタ気管上皮由来の初代細胞による有用性の高い感染実験系を確立し、そのシステムを用いて以下の知見を得た。1)高病原性株H5N1ウイルスは細胞に強い傷害性を誘導するが、(1978、1980年に香港の家禽で集団発生が見られた)H5N2, H5N3ウイルスでは感染細胞内でH5N1ウイルスと同程度の増殖をするものの、細胞に与える傷害性は低かった。2)H5N1による細胞傷害性はカスパーゼ(3,8,9)依存的なアポトーシス誘導が主たるカスケードであることを見出した。3)そのウイルス側要因として外被糖タンパク質のヘマグルチニン(HA)が重要な働きをしていることを明らかにした。4)ヒト呼吸器由来の初代細胞でも上記と同様な結果が確認され、我々の実験システムがヒトにおける病原性を反映する可能性が示唆された。
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