研究概要 |
G蛋白共役型受容体(GPCR)は約1,200種類存在し、これらには神経伝達物質受容体、ホルモン受容体、オータコイド受容体からケモカイン受容体にいたる多くの種類の受容体が含まれ、生体の多様かつ重要な機能に関与している。 免疫担当細胞に発現するGPCRとそのリガンドを介した免疫制御機構を解明する目的で、制御性T細胞、Th1およびTh2細胞のT細胞サブセットに発現するGPCRをApplied Biosystemsヒトゲノムサーベイアレイ(約1,200種類のGPCR)にて網羅的に解析した。 さらにその発現を、real-time PCR法および抗体を用いた免疫染色にて確認し、制御性T細胞には、特異的にKISS1R FPR1、FFAR1、GPR83など8種類のGPCRの発現が認められた。また、Th1細胞は、PROKR2、GHSRおよびGPR126の3種類、Th2細胞には、HRH1、HTR2B、MC3Rなど5種類のGPCRが特異的に発現が認められた。これらのレセプターのリガンドを添加し、制御性T細胞は、Foxp3およびTGF-betaの発現変化とMLRによる抑制機能を検討した。また、Th1細胞は、IFN-gammaなどの発現変化、Th2細胞は、IL-4の発現変化を検討した。 その結果、制御性T細胞のFoxp3の発現増強をきたすリガンドが同定できている。現在機能に対する影響について検討している。 また、制御性T細胞、Th1細胞、Th2細胞を同定しやすくするために、それぞれの細胞に特異的なGPCRに対するモノクローナル抗体の作成に着手している。
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