研究概要 |
免疫担当細胞こ発現するGPCRとそのリガンドを介した免疫制御機構を解明する目的で、制御性T細胞、Th1およびTh2細胞のT細胞サブセットに発現するGPCRをApplied Biosystemsヒトゲノムザーベイアレイ(約1,200種類のGPCR)にて網羅的に解析した。さらにその発現を、real-time PCR法にて確認し、制御性T細胞には6種類、Th1細胞には3種類、Th2細胞には5種類のGPCRが特異的に発現が認められた。これらのGPCRのうち、既知のリガンドを添加後に、それぞれの細胞の機能変化を検討した。その結果、Lysophosphatidylcholine(LPC)は、GPR4やGPR132を介してCD4+CD25+CD127-T細胞(nTregからTGF-βを産生させ、nTregの機能を亢進させることが明らかになった。他の既知のリガンドには、制御性T細胞Th1およびTh2細胞の機能を明らかに変化させるものはなかった。そこで、GPCRのリガンドが多く含まれる生理活性脂質ライブラリー等から、制御性T細胞のFoxp3の発現や抑制機能を亢進させる物質をスクリーニングした。14種類単離され、これらのうち、6種類もPPARアゴニストが単離された。このため、PPARアゴニストによる制御性T細胞の機能変化を検討した。TGF-Bで誘導したコントロール群のFoxp3低発現で、抑制機能はないが、Ciglitazone,Bezafibrate,5,8,11,14-Eicosatetraynoic acid,GW7647のPPARアゴニスト投与群では、Foxp3は高発現に維持され、抑制機能を持ち、PPARアゴニストは抑制機能を持つ誘導型Tregを誘導できることが明らかになった。
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