研究課題/領域番号 |
19591191
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
守田 吉孝 川崎医科大学, 医学部, 講師 (50346441)
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研究分担者 |
佐藤 稔 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70449891)
矢田 豊隆 川崎医科大学, 医学部, 講師 (00210279)
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キーワード | 関節リウマチ / アジュバント関節炎 / 関節炎モデル / スタチン / 内皮機能 / 活性酸素 / 炎症 / 血管障害 |
研究概要 |
関節リウマチ(RA)患者は心血管イベント発症率が高く、生命予後を悪化させている。また、活動性亢進に伴い血管内皮機能障害が生じていることも報告されている。本研究において、我々はRAの動物モデルであるアジュバント関節炎ラットを用い、全身炎症により惹起される血管障害に対するスタチン(HMG-CoA還元酵素阻害剤)の効果を検証した。関節炎発症時よりfluvastatin(5mg/kg/d)を3週間経口投与したところ、内皮機能障害は正常化し、血管壁の酸化ストレスも低下した。活性酸素産生に関与するNAD(P)H oxidaseとeNOSの酵素活性はfluvastatin投与で低下し、NAD(P)H oxidaseのp22phoxコンポーネント発現も低下していた。eNOSの発現は変化なかったが、その補酵素のtetrahydrobiopterinの血清レベルはfluvastatin投与で有意に上昇した。以上のとおり、我々はスタチンが実験的関節炎モデルにおいて血管保護作用を有することを明らかとした。本研究はRA患者の心血管イベント抑制を目的としたスタチンの有用性に一つの科学的根拠を与えるものである。 さらに我々は、この関節炎モデルにアンジオテンシンIIを持続投与し、ラットの血管内皮機能および形態的変化について解析を行った。アンジオテンシンII持続投与による大動脈の中膜肥厚および血管内皮機能障害は、関節炎の誘導によって有意に増悪した。血管壁NAD(P)H oxidaseの活性と発現は、関節炎誘導あるいはアンジオテンシンIIの投与により亢進し、両者の存在によってさらに増加した。即ち、RA患者において、コントロールされていない炎症に、レニン・アンジオテンシン系の亢進など他の血管障害因子の両者が存在した場合には、血管障害の大きなリスクとなる可能性が示された。
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