研究概要 |
Stat5欠損マウスは致死的であることからまずはコンディショナルノックアウトマウスの作成に先立ち胎性肝細胞を致死的放,射線照射を行ったマウスに移植を行った。骨髄細胞をGM-CSFとIL-4でin vitroにて樹状細胞へ分化誘導を行い,サイトカイン産生につき解析を行った。野生型の胎性肝細胞を移植したマウスよりの樹状細胞と比較してIL-12の過剰産生とIL-10の産生低下が見られた。 自己免疫疾患の発症においては抗原提示細胞からのIL-12産生とそれに引き続く.IFN-γの過剰産生が大きく関与していることが長らく示唆されてきた。最近,抗原提示細胞からのIL-23の産生とそれによるT細胞からのIL-17の産生が自己免疫疾患発症に関わる報告が多く見られている。しかし,一方で依然としてIL-12の過剰産生が樹状細胞のアポトーシスを抑制し自己トレランスを破壊することが自己免疫疾患発症つなが[るとする報告や炎症性腸疾患発痺にIL-23は抑制的に働きIL-12がより重要とする報告もあり,結論が得られていない。前述の移植実験による結果に基づきLysMCreトランスジェニックマウスとStat5a/Stat5bダブルノックアウトマウスを交配し単球系細胞特異的コンディショナルノックアウトマウスを作成した。しかし,樹状細胞のおけるStat5はin vitroでの培養後にのみStat5欠損が誘導され,in vivoの樹状細胞ではStat5の欠損はみられなかった。異なるトランスジェニックマウスを用いてのコンディショナルノソクアウトを計画している。以上より,Jak3-Stat5シグナル伝達経路がIL-12の産生を負に制御していることが明らかとなりStat5コンディショナルノックアウトマウスではIL-10の産生低下とIFN-γの過剰産生により自己免疫疾患発症が考えられ,病態の理解と新規治療の開拓に大きな意義があると考える。
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