研究概要 |
単球系細胞特異的Stat5コンディショナルノックアウトマウスの作成のためLysMCreまたはCDllcトランスジェニックマウスとの交配を行った。しかし、in vivoにおけるStat5欠損は見られなかった。血球系幹細胞を含有する胎児肝細胞を致死的放射線照射を行ったマウスに移植することで血球系細胞特異的Stat5欠損マウスの作成を続け前年度に引き続き樹状細胞機能と分化につき解析を行った。移植後8週目に骨髄細胞をGM-CSFとIL-4でin vitroにて樹状細胞へ分化誘導を行い、サイトカイン産生につき解析を行った。野生型の胎性肝細胞を移植したマウスよりの樹状細胞と比較してIL-12の過剰産生とIL-10の産生低下が見られた。樹状細胞の分化はin vitro,in vivo何れにおいても野生型と同等の割合でCDllc陽性細胞を認め、脾臓内樹状細胞サブセットも野生型と変わりなかった。 In vitroにて誘導した樹状細胞とオバアルブミン特異的OTII T細胞と共培養を行い、Stat5欠損樹状細胞と共培養を行ったT細胞からの過剰なIFN-γ産生を確認した。また、CD45.1congenicマウスにCFSEで標識したOT2 T細胞を血管内投与し、樹状細胞を皮下投与し所属リンパ節において投与したOTII T細胞から同様のIFN-γ過剰産生を確認しえた。以上より、樹状細胞におけるStat5はIL-12の産生を負に制御しており、IFN-γの過剰産生が関与する自己免疫疾患の病態の理解と新規治療の開拓に大きな意義があると考える。
|